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十二支のはじまり(その一)

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日本だけではなく、どこの国でも、ネコは、ネズミを追いかけると言われていますが、どうしてだかご存知ですか
日本の東北地方に、こんなおもしろいむかし話があります。
むかしむかし、大きな山の山おくに、神さまがむんでおられました。
ある日、神さまは、もう自分で山を治めるのをやめて動物たちに治めさせようとお思いになりました。
そこで、山にすんでいる動物の中から、十二ひきの動物を選び、交代で山を治めさせることにしました。
そして、山の中の動物をみんな集めて、「動物たちよ、わたくしは、もうそろそろ天国へ帰らなくてはならなくなった。
だから、お前たちは、自分たちでこの山を治めなくてはならない。
そこで、みんながなかよくやっていけるように、わたくしは、お前たちの中から、十二ひきの動物を王さまに選ぶことにした。
そして、その十二ひきが、一年交代でわたしのかわりに、この山を治めればよい。」とおっしゃいました。
そこで動物たちは、だれもがこの十二ひきの中に入れるようにと言い合ったりけんかまでするようになりなした。
これをごらんになった神さまは、なんとか動物たちの言いあらそい止める方法はないかと、よくお考えになり、もう一度動物たちをお集めになって、こうおっしゃいました。
「これこれ、そうけんかをするのではない。
来年のお正月の朝に、わたしの家に一番早くついたものから、じゅん番に十二番目までの動物選ぶことにした。
だから、もうけんかをせずに、お正月の朝、早起きして、わたしの家に来るがよい。」と。
これを聞いて動物たちは、いろいろな作戦をねりはじめました。
なにしろ、どんなに小さくて弱い動物でも、神さまの家に早くつけば、一年間一番えらい王さまになれるのです。
ねぼうで有名なくまなどは、まだ十月もおわらないころから、さっさとほらあなに入ってねむりはじめました。