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十二支のはじまり(その二)

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赤や黄色できれいだった山も、白い雪でおおわれ、とうとう十二月三十一日のおおみそかになりました。
動物たちは、明日の朝、こそは一番早く神さまの家につくぞと大はりきりです。
ところが、「わすれんぼ」で有名なネコは、神さまの家に行かなくてはいけない日がいつだったかわすれてしまいました。
そこで、いそがしそうにじゅんびをしているネズミを見ると、「ネズミ君、神さまの家に行くのは明日だった?」とたずねました。
いたずらもののネズミは、それを聞くと、「ううん、あさってだよ。」と答えて、へいちゃらな顔をしていました。
だまされているなどとは思っていないネコは、「親切にどうもありがとう。」と言って、家に帰って行ってしまいました。
さてさてネズミの方は、どこにねようかなと考えていると、歩くのがとてもおそい牛が、「夜のうちから出発しなきゃおくれてしまう。」とつぶやきながら、神さまの家に向かっているのを見ました。
よしよし、これはいいぞ、牛の背中もぐってしまえ。」と言って、ピョンと、背中とびのりました
山のかげから、大きな初日が出始めたころです。
神さまが、家の前で、一体どの動物が一番早くやって来るかと楽しみに見ていると、一番のろまで有名な牛が、ゆっくりとやって来るではありませんか。
ところが、牛がもうすぐ神さまの家につくというところで、背中からネズミがピョンとはねてかけ出しました。
こうしてネズミが一番、牛が二番となりました。
そのあと、早足トラウサギ寝不足の赤い目をこすりながら、そしてタツ、ミ(ヘビ)、ヒツジトリイノシシ、の十二ひきが、じゅんじゅんにつきました。
こうして、十二支ができたのです。
動物の中には、足が速いので、ゆだんをしてしまったライオンだとか、あるいは、くまのようにぜんぜん目がさめなかったものがいました。
また、途中でけんかをして、今でも「犬猿の仲けんえんのなか)」といわれるように仲のわるい
そして、この時ネズミにだまされたネコは、今でもネズミを見ると、追いかけ回るのだそうです。