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村八分

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アメリカのカウボーイ映画などで、公の裁判なしに、人々が、ワイワイさわいで
悪者と思われる者を、リンチという刑にかけるのを見ることがよくあります。
これは、十八世紀の中頃、バージニア州で、不公平な裁判をしたので有名なチャールズ・リンチという人の名をとって、
こう呼ばれるようになったもので、アメリカの風習を反映しています。
丁度同じころ、日本でも、これほど残酷ではありませんが、
日本の風習反映する非常におもしろい私刑が、はやりました
それは、村八分と呼ばれています。
八分は、別に公の記録に残っておらず、自然に農村地帯に広がっていった、習慣的な私刑です。
農村共同生活がうまく保たれるように、色々なおきてが、人々の間にありました。
例えば、山にできるしいたけとかわらびなどを取ったり、
くりたきぎ拾いに行くのに、山に入ってもよい期間を決めたり、
また、かんがいから水を引いてもよい時間を決めたりして、村の秩序を保っていました。
もし、それに違反する者があれば、その人たちは、村の人々から村八分にされたわけです。
八分とは、村の人々からほとんど交際絶たれることを言います。
八分にされた家族の者が死んで葬儀が必要になった場合と、
火事が起こった場合だけは例外とし、その残りの八分完全絶交されるので、
八分と呼ばれるようになったと言われています。
協力共同非常に強調する日本の社会において、
特に、それなしに生きていくのが、不可能に近かったその当時の日本社会において、村八分にされることは、とてもつらかったらしく、
八分の刑をゆるしてもらえるように、村の重労働を受け持ったり、
その村から逃げ出したりする者がいたと伝えられています。
現在では、村八分にすることは、人権反すると言って、法律ではいけないことになっています。
でも、農村だけではなく、都会でも、近所の付き合いや、会社の仲間付き合いや、友達付き合いの中で、
八分にするケースをよく耳にすることがあります。