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紫式部

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ドン・ファンとかカサノバといえば世界的に有名好男子だったようですが、「源氏物語」の主人公光源氏美貌才能には比べものにならないのではないでしょうか。
もちろん光源氏紫式部という天才女流作家によって描き出された架空人物です。
光り輝くほど美しい源氏君を見て、あこがれ抱かなかった女性は一人もいなかったと書かれています。
この絶世美男子一生のように書いた小説が「源氏物語」です。
いずれの御時にか女御更衣あまたさぶらい給いけるなかに、いとやんごとなき際にはあらぬがすぐれて時めき給うありけり。」という書き出しで始まる桐壺には、光源氏母親と、父親にあたる天皇との、そしてその中に生まれた源氏が12になる時までのことが書かれています。
この桐壺更衣天皇厚い寵愛受け女性でしたが、身分低かったために宮廷女性達にねたまれて、それが原因病気になり死んでしまうのです。
このような境遇に生まれた光源氏は母の面影慕って宮中のいろいろな女性複雑関係を持つようになります。
54というこの長編小説には、燃える光源氏中心当時社会に生きた多くの人々の歓喜悲痛幸福憎しみなどの人間心理独創的描かれています。
作者紫式部は10世紀の終りに生まれた天才的な女流作家で、幼いから物語和歌の本を読み、漢文学も学んでいました。
藤原為時という人は、立派な文学者でもあり、その祖先にも名高い歌人がいたほどの文学的に優れた家系を持っていました。
二十二、三の藤原宣孝という人と結婚しましたが、2年足らず死別し寂しい余生を過ごさなくてはなりませんでした。
一度出家までしようと考えたようですが、幼いのことを思い、一条天皇中宮彰子にお仕えすることにしました。
この宮廷での生活経験巧みに源氏物語」に描かれています。
紫式部主人公光源氏通して物語虚構満ちたものだが、考えようによっては、日本紀などは、世間できごとの一部分しか書いていないものである。物語ほど世間の様子を巧みに詳しく書いたものはないのではないか。」と述べています。
11世紀もまだ初めに、このように社会の中での小説位置役割というものを明記しているのは世界でも数少ないのではないでしょうか。
そういう意味紫式部は日本だけでなく世界でも誇り高き作家であり、ユネスコ世界偉人の一人にも数えられています。