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神風

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日本の国が鎌倉幕府によって治められていた頃の話です。
アジア大陸では、蒙古のジンギス・カンという勇ましい大将が、中国や朝鮮だけでなく、世界中を統一しようとしました。
そしてジンギス・カンの孫のフビライが、中国を統一して元と名づけ、日本にも、この元の大帝国に従うよう要求してきました。
この要求を鎌倉幕府が断ると、元の国は900隻もの大艦隊で日本に攻め寄せて来ました。
北九州の博多湾から上陸した軍隊は、みるみる北九州一帯を征服し始めました。
日本の武士達は、このような外国からの侵入に慣れていなかったのと、元軍が、日本人の見たことのない新しい武器を使ったので、何ともかないません。
じりじり後退し始めました。
元軍は、昼間日本の武士達と戦い、夜は皆、自分達の船に戻りました。
北九州での戦いで、幕府の敗戦の色が非常に濃くなりかけたある夜に、とても不思議なことが起こりました。
元の兵達が皆、自分達の船に戻ると、ものすごい風と嵐が博多湾を襲いました。
そうして元の船のほとんどを海の底に沈めてしまいました。
きっと、九州によく来る台風だったに違いありません。
1274年の秋の終り頃でした。
この不運のしらせを聞いたフビライは、その7年後再び日本遠征を企てました。
船も兵隊の数も前の5倍ぐらいあったそうです。
また博多湾にやってきましたが、今回は、幕府も日本中の強い武士を集めて十分に準備していたので、元軍も大分苦労しました。
それでもまた上陸の機会をねらって待っていたのですが、全く前と同様、大風のために大部分の船と兵隊が海の中に沈んでいってしまいました。
二度も同じように大風で救われたので、日本人は、この大風はただの偶然ではなく、日本を守る神様が吹かせた大風に違いないと、この風を神風と呼ぶようになりました。
第二次世界大戦で、日本の敗戦が秒読みのように迫ってきた頃、敵の戦艦目がけて、命もろとも当たって行ったパイロットを神風パイロットと呼びましたが、きっとその背景には、人々が元冦の時のような奇跡をこのようなパイロットに起こしてもらえるのではないかという願いが含まれていたのではないでしょうか。
大戦以前、外国からの軍隊の侵入は元の国以外一度もなく、その元の国からも神風で守られたと信じていた日本人の一部分の人達にとって、日本が戦争に負けるということは夢にも思っていなかったことだったようです。